財政危機脱出宣言!

なぜ、財政状況が厳しくなったのか、2018年10月に逗子市長として市民の皆さんへお伝えしたメッセージです。

市民の皆様へ

 2017年6月、前年度決算剰余金の予想以上の減少を受けて、緊急財政対策本部を設置し、7億円を超える対策を実施しました。

 主な要因は、経済の低迷による消費税交付金や配当割交付金及び地方交付税など国の交付金の大幅減少、さらに神武寺トンネル工事の国庫補助金等1億7千万円の返還などが重なったことです。

 これまでは、毎年、前年度決算黒字分約10億円を活用して予算を組んできましたが、昨年は黒字幅が前年比で6億円減少し、財政調整基金残高も一時的に1億円となったため、2018年度予算編成が危機的状況に陥りました。

 これを受けて、人件費削減、高いサービス水準を他市並みに下げるなど事業の見直し、各種補助金の休廃止を行い、基金と前年度黒字分に頼らない予算編成に転換し、財政の安定性を取り戻しました。さらに、基金残高は2018年度末に12億円程度まで回復する目処が立ったことから、財政の危機的状況から脱出したことをご報告します。

 この間、皆様にご不便をおかけしたことをお詫び申し上げるとともに、ご協力に心から感謝申し上げます。人口減少と少子高齢化という厳しい状況が続きますが、これからも歳入増と歳出減の不断の努力によって、安定した財政運営に徹してまいります。今回の財政危機の経験を生かして、財政を建て直すことが私の使命だと覚悟しています。市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

2018年10月 逗子市長 平 井 竜 一


 

逗子市財政問題の真実


 なぜ、緊急財政対策を行わなければならなかったのか。対策により財政はどうして再建の目処が立ったのか。皆さんの疑問に詳しくお答えします。


財政の現状と今後の方針

1.財政危機脱出へ

2018年度末に財政調整基金12億円まで回復

◎2017年度決算で次年度繰越金8億円

2018年度末に残高12億円

◎2019年度末に残高15億7千万円

財政対策プログラムにより危機的状況は脱し、今後は財政調整基金を着実に積み増しながら、安定した財政運営ができる基盤が整いました。


2.急激な財政悪化の原因は何か?

 (1) 2016年度決算剰余金の大幅減少

①決算剰余金の減少 △6億円

◎2015年度で10億5千万円の黒字が2016年度は4億6千万円に約6億円減

⇨主な要因は、国の交付金減

消費税交付金     △9744万円

株式等譲渡所得割交付金△4799万円

配当割交付金     △2247万円

地方交付税等   △2億6000万円

⇨2017年度当初予算に見込み経常した繰越金5億5千万円が9千万円不足に⇒地方交付税の増で補

②財政調整基金の減少 残高1億円⇒年度末5億円へ

◎2017年6月に神武寺トンネル国庫補助等の返還のため1億7千万円を取り崩して残高1億円となり、2018年度当初予算で基金からは繰り入れできなくなる

⇨2017年度末に土地売却収入等によって基金残高は5億円まで回復 

 (2) 財政の構造的問題

①減る税収と増える社会保障費

◎市税収入は2008年の106億円から

        2016年に 95億円に減少

◎社会保障費は2008年の22億円から

       2016年に39億円に増加

②基金と繰越金に頼った予算編成

◎財政調整基金から5億円、前年度繰越金から

 5億円を歳入に上する予算が常態化

⇨当該年度の歳入で歳出を賄えず、毎年約10億円の前年度繰越金で年度末の財政調整基金残高を回復するしいやり繰り

③公共施設の老朽化対策も待ったなし

◎老朽化する公共施設整備費が増大

3.緊急財政対策の概要

 (1) 基本方針

◎歳出予算規模の縮小と経常的歳入の獲得

◎「歳入に見合う歳出」とする財政に転換

◎財政調整基金は極力取り崩さない

◎市債発行は当該年度償還額を上回らない

◎受益者負担の適正化を進める

27年度決算と28年度決算の決算剰余金の比較
27年度決算と28年度決算の決算剰余金の比較
2017年6月に1億円まで減少したが年度末に5億円に2018年度末は9億円の予想が実際には12億円に回復
2017年6月に1億円まで減少したが年度末に5億円に2018年度末は9億円の予想が実際には12億円に回復
市税収入と社会保障費の推移
市税収入と社会保障費の推移

 (2) 財政対策プログラム 7億8242万8千円

① 人件費削減  3億1817万4千円

市長副市長教育長給与削減 1071万円

市長・副市長退職金不支給 2059万円

一般職職員給与減額   1億2769万円

時間額勤務手当の削減  4771万円

職員数の削減     1億387万円

教育委員などの報酬見直し  758万円

② 約150事業の見直し 2億6282万1千円

 【事業縮小・休廃止】

幼稚園就園奨励費削減   1094万円

少人数指導教員を時間制へ  2178万円

学習支援員縮小        711万円

ふれあいスクール職員縮小   638万円

心の教室相談員廃止      594万円

交通整理員廃止        662万円

ピースメッセンジャー廃止   200万円

高齢者センター浴場休止    427万円

敬老会・敬老祝金廃止     142万円

プール期間短縮無料券縮小   333万円

 

   【補助金・助成金】

防災工事助成休止     475万円

生ごみ処理器購入助成休止 276万円

花火大会海岸事業補助休止  1863万円

市民まつり補助休止    427万円

アートフェス補助休止   180万円

 【公共施設関係】

郷土資料館休止      410万円

コミセン時間短縮     320万円

市民交流センター時間短縮 281万円

逗子アリーナ月曜休館   210万円

図書館火曜休・閉館18時  人件費削減

③ 国民健康保険繰出金削減    1億円

④ ごみ処理広域による効果額 5945万円

葉山の可燃ゴミ処理収入   3842万円

葉山し尿処理委託で経費減  2102万円

⑤ 池子の森自然公園整備休止等 2042万2千円

池子の森自然公園整備休止 1708万円

⑥ 議員報酬など議会費削減   2156万1千円


4.平成30年度見直し対象事業の方向性

 (1) 休止事業と縮小事業についての検討

◎高齢者センター浴場:再開

◎通学路の安全対策:市役所前信号機設置。久小前は道路改良。小坪は継続

◎重度心身障がい者手当:障がい者自立支援のあり方を抜本的に見直し

◎ひとり親家庭等福祉手当:幼児教育無償化を踏まえ子育て支援全般を見直し

◎市民まつりや花火大会等:今年度の結果を踏まえ来年度方針を検討

◎プール子ども無料回数:今年度を踏まえ検討

◎図書館開館時間:利用状況を踏まえ検討

 (2) 9月パブリックコメント、10月最終報告

◎保育料の改定

◎学童保育の保育料見直しと開所時間拡大

◎重度障害者医療費助成を県所得制限基準に

◎ハンディキャブ廃止(経過措置あり)他

5.今後の財政運営の基本原則

◎2019年度までに財政を構造転換する

◎2020年度以降も当年度歳入で歳出を賄う

◎市債発行額は当年度の償還額以下とする

◎基金10億円達成後は繰越金で2億円積立て

◎残る繰越金を公共公益施設整備基金積立て

◎前年度積立てた公共公益施設整備基金を原資に再整備する